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娘が先日二十歳になりました。

二十歳というと、日本で年金を払う年齢です。
私は二十歳から日本の年金を払っていたので、今でも任意で払い続けていますが、
昨今では「年金は破綻の可能性が高い」などという声も多く、海外に住んでいる場合は特に、払っていない人も多いですね。確かにカナダに住んでいて、税金を払っていれば年金はもらえます。けれども世界を見て育っている海外在住の日本人子女たちは、日本を含めてどの国に住む可能性もあります。

そこでどうすれば良いのか、色々調べたので、忘備録的にここに残しておこうと思います。あくまでも一個人のシロウトが調べたデータや意見であり、情報は常に変化する可能性があることをご留意ください。


カナダの年金制度

カナダにはOAS(Old Age Security program)とCPP(Canada Pension Plan)の二つの年金があります。

OASは老齢年金で、保険料の支払いはなく、65才以上が申請する事ができます。日本の国民年金の支払い分を無くしたバージョンというところでしょうか。こちらはカナダ在住者である必要があります。申請時点で18歳以降最低10年間カナダに居住していること、カナダ外に在住の場合は18歳以降最低20年間カナダに居住していた事が必要となります。

受給額は18歳以降カナダに住んでいた年数によって違ってきます。

全額支給は18歳以降40年以上カナダに住んでいた事だそうなので、25歳の誕生日からカナダに移民している人は満額も可能ですね。

ちなみに2018年の最高支給額は月$586ドルだそうです。2017年の基本支給額は月$583.74でした。



CPP
は日本の厚生年金に当たるもので、18才以上65才未満で年収$3,500以上の場合、保険料を支払う義務がありますが、給与制の場合(自営業ではなくお給料をもらっている方)は、保険料を会社と折半するそうです。
日本と同様、遺族年金や障害年金もあります。
退職年金は日本と同様65歳からの支給が一般ですが、申請すれば60歳から受給することができます。ただし、もらえる分は少なくなってしまうそうです。逆に70歳から受給するように設定すると毎月の受給額は増えるそうです。
支給額はやはり収入や支払額によって違ってくるのですが、支給条件は最低でもカナダに働いて1度はCPPの支払いをした事が条件だそうです。ほとんど貰えないかもしれないけれど1度だけでもいいってすごいですね。

ちなみに2018年の最高支給額は月$1134ドルだそうです。



情報は上のGovernment of Canadaのサイトのほか、以下のサイトを参考にしました。できれば最低支給額を知りたいけどわからなかったです。。。少なくともCPPで満額を貰える人はかなり少ないという事だけはわかりましたが。

年金の国際社会保障協定

カナダと日本は国際社会協定を結んでいるので、駐在員や留学生などが二重に保険料を負担する必要がなくなりました。
移民した私たちや子供達にとっては、日本の年金制度に加入した後に、もしカナダ国籍を選び、日本国籍が失効して年金受給権が得られなかった場合、カナダのCPPの加入期間と合計して日本の年金受給権を得ることができる可能性もあるそうです(またはその逆も)。

でも二重で負担したら将来二重で貰えるのではないかと思うのですが、その辺はどこにも情報がなかったのでよくわかりません。でも多分貰えるんじゃないかなあと思います。

日本の年金

日本の年金は、皆さんご存知だと思うので基本だけ。

国民年金の平均支給額は月に55,244円でした。最高支給額は1年に779,300円(月64,941円)のようです(2017年4月のデータ、40年間すべて「全額納付」だった場合)。
2017年4月時点の毎月の保険料は16,490円ですので、1年で197,880円(年払い、2年払いで割引はあります)、40年支払い続けると7,915,200円。75才以上生きれば元が取れるという感じですね。

厚生年金の平均受給額は月に14,4886円でした。最高支給額は年収によって変わってくるのでわかりませんが、平均の給料が月30万で40年勤務していた場合は138,5000円だそうです。



こちらは、最高支給額のシミュレーションが色々あって興味深かったです。


遺族年金は、配偶者が外国人でも、在留資格を問わず受給可能だそうです。配偶者が再婚したり年収が850万円を超えない限り、子が18歳になる年度末まで支給されます。


アメリカの年金

ちなみにお隣りにある経済大国アメリカで働くカナダ人もとても多いので、念のため調べてみました。アメリカは就業している人は強制的に払わなければならいようです。ただ、専業主婦など仕事をしている人は入れません。厚生年金しかないような感じでしょうか。そのほかのシステムなどはカナダや日本と似ているし、国際社会保障協定に入っているので、途中でカナダや日本に引っ越しても払った分を引き継ぎできます。


まとめ

というわけで、カナダに住むか日本に住むか未来の定まっていない若者は年金をどうすれば良いのかと考えた場合、

  • 厚生年金やカナダのCPPは、実際に給料をもらい始めるまでは開始できないし、就職した時の状況でしか判断できない
  • 国民年金は日本国外にいても任意で支払いを続ける事ができるので、そうした場合、払い続ければ今の時点では65才以降、1年に80万円近くもらえる。海外発行でのクレジットカードでも支払い可能だし、支給時に海外にいても支払いは受けられる。
  • 何もしなくてもカナダに住んでいればOASという年金が貰える。2018年の最高支給額は月$586ドルなので、支払いする事なく、自動的に日本の国民年金の平均支給額程度はもらえる
という事になります。

となると、まあもしカナダに絶対にずっと住む、というのであれば日本の年金は加入する必要はないかもしれませんが、お金に余裕があるのならば、日本の年金に加入しておけば、世界のどこに住んでいても支払いを受ける事ができます。他の国で年金の保険料を二重で払っても、受給年齢に達した時に二重で支給を受けたり、カナダで失職中などでCPPを払えなかった時に、日本での支払い分を合算することもできるようなので、払っておいてあげるのも一つの案ではないかと思います。破綻するかもというのは、不安を煽るような記事と、そうでない記事両方ありますが、両方とも根拠に基づいているようなので、個人で判断するしかなさそうです。悩みますね。